〒617-0002 京都府向日市寺戸町渋川18-8(東向日町駅から徒歩5分・JR向日町駅から徒歩7分)
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严振国『经穴断面解剖图解(头颈、胸部)』上海科学技术出版社出版: p38,1990.
巨髎(こりょう)は顔面部にある経穴で、瞳孔線上の鼻翼下縁の高さに取ります。
足陽明胃経と陽蹻脈との交会穴。
皮膚には上顎神経の枝の眼窩下神経
●筋肉は上唇挙筋・口角挙筋
●血管は眼窩下動脈・眼窩下静脈・眼角動脈・眼角静脈
① 皮膚:三叉神経第二枝〈上顎神経〉の眼窩下神経
⇒② 皮下組織:上記神経のほか、顔面動脈・静脈および眼窩下動静脈の分枝や吻合枝を含む。
⇒③ 上唇挙筋:顔面神経頬骨枝支配。
⇒④ 口角挙筋:顔面神経頬骨枝支配。
⇒⑤ 上顎骨の上顎体:内部に上顎洞を含む。
名前の由来は、巨髎は上顎骨と頬骨の接合部にあり、顔面の骨の大きな陥凹部に位置するため「巨髎」と名付けられた。
※髎・・・骨のくぼみ。関節のすき間。
特になし
巨髎の主治症には、以下のような眼や顔面やその他の症状があります。
顔面症状
• 風寒に当たることによる顔面症状の悪化
• 䪼(頬骨の上部)が腫れて、ぶよっと腫脹し痛む。もしくは化膿性の腫脹で強く痛む。もしくは気血の停滞による詰まるような痛みがある状態。
• くちびると頬が腫れて痛む。
• 顔の病
• 顔面のひきつり・痙攣、口がゆがむ(いわゆる顔面神経麻痺や痙攣)
眼の症状
• 目の動きが不安定で視線が定まない(目の動きと視線の神態が不安定。末梢性顔面神経障害+前庭系軽度障害の併発像)
• 視野内の白い異常像。飛蚊症様、角膜・水晶体混濁の揺れ、涙膜異常など視野に現れる異常物の揺れ。
• 眼球内に白い膜様の組織(角膜混濁・白内障様の表現)があらわれる(もしくは瞳を覆う)。視界を遮る膜状の混濁(視力障害もあり)
• 遠くを見るとぼやけてはっきりしない(もしくは遠くを見ると暗くはっきりしない)
• 青盲(外見上は大きな異常がないのに、見えない状態)して何も見えない(視神経・網膜レベルのかなり重い視力障害)
その他の症状
• 下肢の痿弱やしびれがあり、膝に腫れが生じる。
• 胸から横隔膜部に瘀血が停滞。腎兪を併用。
• ※胸膈(上焦)に瘀血が停滞すると、胸満・煩躁・口渇しても飲水を欲しないなどの虚熱症状が現れる。これは陽盛陰虚に寒涼止渇の剤などを使用した誤治により瘀血が上部に残った状態であり、鼻衄が続く病態とも関係する。『金匱要略』では、目の黄ばみ(内熱)が軽減すると鼻衄も止まるとされ、眼・鼻は上焦の熱と密接に関連すると示されている。巨髎は清熱止衄して上焦の瘀熱を散じ、腎兪は滋陰補虚により虚火を鎮めて瘀血の根本を改善する。すなわち、上部の瘀血を散じつつ陰を補い、活血・清熱・止血を図る治法を示している。※1
• 考察:胸膈瘀血は気血の停滞による上半身のうっ血状態を示す概念であり、あくまで一例であるが、現代医学における胸郭・横隔膜の緊張による循環低下や、右心不全にみられる内臓うっ血などを参考にすると、病態像を把握しやすいのでは?
急性蓄膿症(による頭痛)
• 攅竹・巨髎・顴謬・天柱・風池・合谷の針。顴髎からの瀉血。※2
• 副鼻腔炎には灸がよく効くともある。※3
上下歯痛(除痛のための対処療法として)
• 厥陰兪(上歯痛には温溜・下歯痛には澤田流厥陰兪の灸ともある※4)・天井の灸。下関・巨髎の針。前の方ならば迎香・禾髎に、奥の方ならば患歯の歯根に当てるように阿是穴に針する。※2
• 上歯痛には属兌から、下歯痛には商陽から刺絡しただけで痛みが軽減する事もあるようだ。※5
• 上歯痛には、巨髎穴に『上から下向けて響く処まで入れ…』とある。※6
鼻炎
• 鼻炎の一般的な標治法として、以下の経穴が挙げられている。
鼻出血
• 風府・大椎の灸。上星の灸。天柱の針。手三里の灸。巨髎の針。※8
• 巨髎・迎香などからの瀉血。※9
• 大食家で胸焼けや胃炎症状を持つ者が鼻衂(鼻血)を訴える時には足の陽明胃経の巨膠穴を用いる。※10
末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)
• 治療は早い方が良い。早ければ一~二週でほぼ治癒。時間が経つと治りにくいが症状の軽減は見られる。全身治療と局所治療(巨髎を含む)。鍼は細い針で浅く、糸状灸も良い。患側に血絡が見られる場合放血も良い。※11
• ※皮膚感覚の活性化を促す意味でも灸がいいと思われる。
• 急性期では,陽蹻脈の郄穴の跗陽と顔面部の経穴の承泣・巨髎・地倉を用いる。慢性期では,陽蹻脈の起始穴の申脈と顔面部の経穴を用いる。急性期・慢性期ともに,八脈交会穴の後渓を加える。※12
顔面筋痙攣
• 「眼瞼筋痙攣以外の顔面筋痙攣は治癒し難くまた再発し易い」(佐々貫之著『内科学』)と成書に記されてるが、針灸治療によって軽快し、または全治するものもある。原因不明が多い。顔面神経麻痺のあとによくチック様の顔面筋痙攣や、神経疲労の後など心因性の眼瞼痙攣は、針灸治療がよく奉効する。局所的治療は顔面神経の分布領域に治穴を求める。(巨髎を含む)。※13
自家中毒
• ある小児(男8歳)の自家中毒の前兆として、左巨髎の動脈拍動が高まり目に見えるようになったと記載あり。※14
診断穴
• 『素問』における三部九候診では、巨髎は「上部の地」とされロ歯の気を侯うとある。
皮膚温の上昇
• 水突穴へのキセノン光照射により、「内関」「巨膠」の皮膚温、深部温、「眼窩上動脈」「橈骨動脈」の血流量に有意の上昇を示した事を報告され、自律神経を介しての血管拡張を示唆されている。※15
顔のこりを取り、つやを出す
• 顔のこりを取り、つやを出す「悦顔面法」として、「晴明・攅竹・糸竹空・太陽・顴髎・巨膠・迎香」穴が紹介されている。※16
巨髎(ST3)は古典的に、顔面の腫脹や疼痛、顔面神経麻痺・痙攣、眼のかすみ・視力低下・混濁などの眼顔面症状を中心に、鼻出血や鼻炎、歯痛など上焦の気血停滞や熱に伴う病態の記述がみられる。
顔面神経麻痺を、風寒を起因とした、皮膚の感覚入力の低下による、中枢の運動出力遮断状態だと仮定すれば、ベル麻痺には糸状灸などがいいと思われる。
また、気血の停滞から胸膈の瘀血や鼻衄が続く虚熱状態にも関与し、清熱・活血・止血の作用をもつとされる。
臨床本にも副鼻腔炎や鼻炎、歯痛、鼻出血、末梢性顔面神経麻痺、顔面筋痙攣などに局所穴として用いられ、放血や灸を併用することも多い。
さらに診断穴として顔面(口歯)や上焦の状態を反映しやすく、顔面のこりや循環不良の改善、美容目的にも応用される。
※1.高武(原著)陳壁琉,鄭卓人(解説)森田貴美子(訳)『解説百症賦』p33-34,1976.
※2.代田文誌『治験例を主とした針灸治療の実際(上巻)』:p186,1979.
※3.小島福松「副鼻腔炎(蓄膿症)と鍼灸治療」『鍼灸治療室第3集』:p191-195,1996.
※4.清水千里「歯痛」『鍼灸治療室第3集』:p211-212,1996.
※5.上山茂「歯痛に対する鍼灸」『鍼灸治療室第3集』:p208-211,1996.
※6.池田太喜男『池田太喜男師の世界』
※7.曽炳文、松本克彦「アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎の東洋医学的治療」『東洋医学』48号:p55-59,1983.
※8.※2:p189.
※9.代田文誌『治験例を主とした針灸治療の実際(下巻)』:p610,1980.
※10.織田啓成『経絡相関論』p165,1999.
※11.※2:p375-376.
※12.高野耕造『臨床に役立つ奇経八脈の使い方』.p286,2020.
※13.※2:p383-384.
※14.※9:p499.
※15.坂口明、阪本恵子、亀井陽子、王財源、稲森耕平「水突穴への刺激による顔面・上肢への影響ーキセノン光照射による血流及び温度変化-」『第45回社団法人全日本鍼灸学会学術大会プログラム予稿集』:p106,1996.
※16.王財源「養生鍼灸とシワ美容」『医道の日本』臨時増刊11:p147-152,2006.
Ⅰ.『素問』
記載なし。
Ⅱ.『霊枢』
記載なし。
Ⅲ-1.『鍼灸甲乙経』黄龍祥新校本
①/3.「巨髎.在侠鼻孔傍八分.直瞳子.蹻脈.足陽明之会.刺入三分.」
現代語訳
巨髎は、鼻孔の傍ら外側八分のところにある。黒目の真下に位置する。(陽)蹻脈に属し、足の陽明胃経と会する穴である。刺鍼は三分の深さに刺入する。
②/3.「面目悪風寒.䪼腫臃痛.招揺視瞻.瘈瘲口僻.巨髎主之.」
現代語訳
顔や目が風寒を嫌い(風寒によって悪化し)、瞼の下の頬が腫れて強く痛み、目の動きが不安定で視線が定まらず(目の動きと視線の神態が不安定である)、瘈瘲(けいれん・ひきつり)が起こり、口がゆがむ。これらは巨髎が主る。
③/3.「青盲無所見.遠視䀮䀮.目中淫膚白膜.瞳子髎.巨髎主之.」
現代語訳
青盲(外見上は大きな異常がないのに、見えない状態)して何も見えず、遠くを見るとぼんやりとかすみ、目の中に白い皮のような膜が生じる。これらは瞳子髎および巨髎が主る。
Ⅲ-2.『鍼灸甲乙経』明医統本
①/2.「糸竹空.一名巨窌.在眉後陥者中.足少陽脈気所発.刺入三分.留三呼.不宜灸.灸之不幸.令人目小及盲.【気府論註】云.手少陽.又云.留六呼.」
現代語訳
糸竹空は、別名を巨窌という。眉の後方の陥凹部にある。足少陽胆経の気が発するところである。刺鍼は三分刺入し、三呼留める。灸はしてはならない。もし灸をすれば、不幸にも目が小さくなり、あるいは失明する。
『気府論註』には、手少陽(三焦経)とする説もあり、また六呼留めるとも記されている。
※絲竹空(TE23)は手少陽三焦経である。
②/2.「巨窌.在侠鼻孔傍八分.直瞳子.蹻脈、足陽明之会.刺入三分.」
※甲乙経新校正本と同じ
Ⅳ.『千金要方』
①/1.「巨窌.侠鼻傍八分.直瞳子.」
※甲乙経と同内容
Ⅴ.『千金翼方』
記載なし。
Ⅵ.『外臺祕要方』
①/1.「巨窌.在俠鼻傍八分.直瞳子.蹻脈足陽明之会.主.面目悪風寒.䪼腫癰痛.招揺視瞻.瘈瘲口僻.青盲無所見.遠視.目中淫膚.白膜覆瞳子.」
現代語訳
巨窌は、鼻孔のわき八分のところ、黒目の直下にある。(陽)蹻脈および足陽明胃経の会穴である。この穴は、顔や目が風寒を嫌い(風寒によって悪化し)、瞼の下の頬が腫れて強く痛み、目の動きが不安定で視線が定まらず(目の動きと視線の神態が不安定である)、瘈瘲(けいれん・ひきつり)が起こり、口がゆがむ。また、青盲(外見上は大きな異常がないのに、見えない状態)して何も見えず、遠くを見るとぼんやりとかすみ、目の中に白い皮の様な膜が生じてそれが瞳を覆うような病にも効くとされる。
※下線部は甲乙経と同文。しかし最後の「目中淫膚白膜.瞳子髎.」『甲乙経』、「目中淫膚.白膜覆瞳子.」『外臺祕要方』というように、『甲乙経』では瞳子髎(GB1)を治療穴として挙げているが、『外臺祕要方』では、白い膜が瞳を覆うという記述で穴名にはなっていない。つまり上記の症状に『甲乙経』は瞳子髎(GB1)と巨髎(ST3)、『外臺祕要方』はST3(巨髎)のみという記述である。
Ⅶ.『黃帝內經素問補注釋文』
①/1.「在鼻孔下兩傍近於巨髎之分動應於手足陽明脉氣之所行.」
現代語訳
鼻孔の下の両側で、巨髎に近い部位は、手足の陽明経の脈気が動いて現れるところである。
※巨髎が明瞭な拍動部というより、近くに拍動部があるとしている。三部九候診では、巨髎は「上部の地」とされロ歯の気を侯うとある。
Ⅷ.『医心方』
①/1.「巨窌.二穴.在侠鼻旁八分直瞳子.刺入三分.主.面目悪風.翳膜.口噼.青盲.」
現代語訳
巨窌は左右二穴あり、鼻の傍ら八分、ちょうど黒目の直下にある。三分刺入。顔や目が風に当たると悪化する症状、翳膜(目に生じる膜状の病)、口のゆがみ、青盲(外見上は大きな異常がないのに、見えない状態)を主る。
※甲乙経とほぼ同内容。
Ⅸ.『太平聖恵方』
①/1.「巨髎二穴。在鼻孔下。侠水溝傍八分。是穴。蹻脈足陽明之会。主療面風寒。鼻頻【細字】(音准)上腫。癰痛。招揺視白。瘈瘲口僻。針入三分。登得気卵鴻(⇒得気即瀉『太平聖恵方』著作ID 4376058 3706 of 3766に倣う)。灸亦良。灸七壮止。」
現代語訳
巨髎は左右二穴で、鼻孔の下、水溝(人中)の傍ら八分のところにある。この穴は(陽)蹻脈と足陽明胃経の交会穴である。顔に風寒を受けた症状や、鼻尖【細字】(※頻の音は「准」と注す。つまり鼻頻⇒鼻准⇒鼻尖。鼻䪼との説もあり。䪼は頬骨の上部を指す。)上部の腫れ癰のように痛み、視線が揺れ動いて白くかすむこと、筋のひきつりや口のゆがみを治す。鍼は三分刺入、気を得ればよい(気至れば可)。灸もまた良く、七壮で止める。
Ⅹ.『銅人腧穴鍼灸図経』
①/1(A).「巨髎.二穴.侠鼻傍八分.直目瞳子.」
※甲乙経と同内容。
①/1(B).「巨髎.二穴.侠鼻孔傍.一作旁.八分.直目瞳子.蹻脈.足陽明之会.治.青盲目無所見.遠視䀮䀮.白翳覆瞳子.面風寒.鼻䪼上腫壅痛.瘈痠口喎.鍼入三分.得気即写.灸亦良.可灸七壮.」
現代語訳
巨髎は左右二穴で、鼻孔のわき(「傍」とも「旁」とも書く)八分のところ、ちょうど黒目の直下にある。(陽)蹻脈と足陽明胃経の交会穴である。
青盲で何も見えないもの、遠くを見るとぼんやりとかすむもの、白い膜が瞳を覆うものを治し、また顔面の風寒、鼻や頬の上部が腫れてつかえ痛む症状、筋のひきつりや口のゆがみにも効く。鍼は三分刺入、気を得たらすぐに瀉す。灸もまた良く、七壮まで灸してよい。
※上記文献群とほぼ同内容。
①/1(C).「巨髎.二穴.侠鼻傍八分.直目瞳子是也.」
※甲乙経と同内容。
Ⅺ.『十四経発揮』
③/4.「巨髎.在鼻孔旁八分.直瞳子.」
※甲乙経と同内容。
Ⅻ.『鍼灸聚英』
①/4.「巨髎俠鼻孔旁八分.直瞳子.平水溝.蹻脈.足陽明之会.【銅人】針三分.得気即瀉.灸七壮.明下灸七七壮.主瘈瘲.唇頬腫痛.口喎噼.目障無見青盲無見.遠視䀮䀮.淫膚白膜.翳覆瞳子.面風鼻䪼腫.癰痛.招揺視瞻.脚気膝腫.」
現代語訳
巨髎は、鼻孔の傍ら八分、黒目の直下にあり、水溝(人中)と同じ高さに位置する。(陽)蹻脈および足陽明胃経の交会穴である。
『銅人』には、鍼は三分刺入、気を得たらすぐに瀉すとある。灸は七壮とし、あるいは『明堂下経』には七七壮(四十九壮)と記されている。
この穴は、瘈瘲(けいれん・ひきつり)、唇や頬の腫れて痛むもの、口のゆがみ、目に障りがあって見えないもの、青盲で見えないもの、遠くを見るとぼんやりとかすむものを治す。また、目の中に白い皮のような膜が広がり、かげりが瞳を覆うもの、顔面に風邪を受け、鼻や頬が腫れ、癰のように痛み、視線が揺れ動いて定まらず、さらに脚気による膝の腫れがあるものを治す。
④/4.「胸膈停留瘀血.腎俞巨髎宜徵.」
現代語訳
胸や横隔膜のあたりに瘀血が停滞しているものには、腎俞と巨髎を取るべきである。
XIII.『鍼灸大成』
②/8.「胸膈停留瘀血.腎兪巨髎宜征.」
現代語訳(太字部分)
胸や横隔膜のあたりに瘀血が停滞しているものには、腎兪と巨髎で攻めるのがよい。
④/8.「巨髎.俠鼻孔旁八分.直瞳子.平水溝.手足陽明.陽蹻脈之会.【銅人】」
※上記『銅人』に準ずる。
⑥⑦/8.「巨髎.一名巨窌.」
現代語訳
巨髎は、また巨窌と記される。
⑧/8.「庚辰歳過揚.大尹黄縝庵公.昔在京朝夕相与.情誼甚篤.進謁留疑.不忍分袂.言及三郎患面部疾.数載不癒.甚憂之.昨焚香卜霊棋課曰.兀兀塵埃久待時.幽寂寞有誰知.運逢宝剣人相顧.利遂名成総有期.与識者解曰.宝者珍貴之物.剣者鋒利之物.必逢珍貴之人.可癒.今承相顧.知公善針.疾愈有期矣.予針巨.合谷等穴.更灸三裡.徐徐調之而癒.時工匠刊書.多辱蟹米之助.」
現代語訳
庚辰の年1850年、揚州に赴いた折のことである。大尹の黄縝庵公に出会った。かつて京師にあって朝夕ともに親しく交わり、つきあいの上の真情はことのほか厚かった。今回も会って話をしたが、名残惜しくてなかなか別れられなかった。
話は三郎が顔の病を患っていることに及び、何年も治らず、たいへん心配しているということであった。昨日、香を焚いて占いをしてみたところ、「長いあいだ不遇のまま、時を待っている。ひっそりと苦しんでいるが、それを知る者はいない。しかし運よく“宝剣”に出会えば、人は振り向き、やがて利益も名声も成し遂げられる時が来る。」という結果が出た、というのである。
これを識者が解釈して言うには、「宝とは珍しく貴い物であり、剣とは鋭利な物である。必ずや珍貴な人物に出会えば治るであろう」とのことであった。
「今、あなたが気にかけてくださり、もとよりあなたは鍼に優れていると知っているので、病が治る時もきっと来るでしょう。」と言われた。
そこで私は巨髎や合谷などの穴に鍼をし、さらに三里に灸を加えて、少しずつ体を整えていったところ、やがて病は治った。
ちょうどそのころ職人が書物を刊行しており、私はその際にわずかながら謝礼の助けを受けた。
XIV.『鍼灸穴名解』
「穴在上顎骨与顴骨接縫中.為面骨巨隙.故称巨髎.以上三穴.治症略同.以口眼為主.以其接近五官也.」
現代語訳
巨髎は上顎骨と頬骨の接合部にあり、顔面の骨の大きな陥凹部に位置するため「巨髎」と名付けられた。以上の三穴(承泣・四白・巨髎)は主治がほぼ同じで、口や眼の疾患を主とするが、これは五官に近接しているためである。
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