こんにちは。院長の中です。

本日は当院の特徴でもある、気候の変化を意識した疾患の考え方についての一端をお話しいたします。

この気候変化が疾患に及ぼす影響につきましては、東洋医学を実践する上では非常に大切です。それは東洋思想の中に、「天地人三才思想」というものがあるからであり、東洋医学もその影響を色濃く受けているからです。

難しい話はさておいて、この「天地人三才思想」とは、「天・人・地は完結した世界を形成するが、相対応して同一の原理に支配されている」という思想のことであり、気候と身体に関して平たく言えば、自然界で起こる気候の変化も、体内における状態の変化も同様の原理で起こっているといった考え方です。

繰り返しますと、気候に変化があったということは、体内でも何かしの変化が起こっているということです。

さて本題の「花粉症」についてですが、春のうららかな陽気で心がウキウキしたり、心機一転新しい生活の始まりを迎える季節に始まりやすいことからも、季節性の病として認識しやすいと思います。

では、「花粉症」は花粉などのアレルギー物質と呼ばれるものだけが、原因なのでしょうか?

答えは半分正解、半分不正解です。

これは同じ地域に住み、同じくらいの花粉を浴びている人の中でも、「花粉症」になる人と、ならない人がいることからもわかると思います。当院の考えでは、花粉などのアレルギー物質はあくまで引き金であり、花粉症をおこす方の体内では、それまでに鼻水や目のかゆみなどを起こす下準備がなされていたと考えます。

新芽が春の暖かさで出現するように、身体は「花粉症」になるキッカケを待っていたのです。

一般向けに、簡単にいうとその下準備とは「熱」と「水」(と「風」)です。体内から出さなければならなくなった、「熱」や「水」が春の陽気(「風」)の助けを得て(体内にも春がやってきて)、表に出てきたのです。

ここでいう「熱」や「水」や「風」という言葉は、一般的(西洋医学)にいう発熱、体液、いわゆる風邪と呼ばれるものとは少し意味合いの異なる、東洋医学の用語になります(機会があれば書きますが)ので注意してください。

数日前から、当院でも「花粉症」らしき症状を訴える方が出てきました。当院の治療理論にも取り入れている、「運気論」(東洋医学理論の1つ)では大寒(1/20)を過ぎたあたりを、1つの季節の分かれ目(初之気、初運)と考えますが、この頃から「花粉症」の方もちらほら出てきているように思います。

もちろんこれからの季節(1/20以降)は、「花粉症」だけでなく、ほんの一例ですが身近な疾患としましては、胃腸の不調(ムカつき・軽い吐き気)、こむら返り、右足の痛みなども出やすくなると思います。

「花粉症」の治療に関しましては、「熱」「水」「風」を適した状態に(出すものは出し、出さなくても良いものはめぐらせ、のぼせがあれば下げる)して症状の出現を抑えます。しかし先ほども書きましたように、下準備(余分な水の停滞・偏在した熱)がなされてしまっている場合、短期間での根本治療は難しくなります。

「花粉症にすぐによく効く」などTVCMで見かけますが、鍼灸治療も同様に症状は抑えられます。ですので症状を抑えつつ、さらに東洋医学の強みを生かし、秋口や来年以降に少しでも花粉症などのアレルギー症状が出にくい身体づくりを心がけ治療いたします。